私は農家の長男に生まれ、米作りに一生懸命に頑張っている両親の後姿を見て育ちました。
その頃の田んぼには雑草も多く生えていましたが「タニシ」「どじょう」「ザリガニ」「ホタル」などたくさんの生き物がいました。
学校を出てからは地元のJAに勤めるかたわら兼業農家を営み、農業に関する色々な事柄について学び、経験を積んできました。
いつしか気が付くと、田んぼには一本の草も生えておらず、生き物自体が全く見当たらないようになっていました。
小川にいたたくさんの魚も、ほとんど消え去ってしまっていました。

50歳に差し掛かる頃に私を襲った大きな病。
この先どうなるかも分からない闘病生活が始まりました。
家内にも大変な苦労をかけた不安で辛い闘病生活でしたが、病状が改善し夢にまで見た退院の日を迎える事ができました。
そしてそれは、何をおいても健康であることが一番であること、そして食の安全の重要性、そんな当たり前のことを身をもって痛感させられる大きな出来事でもありました。

いつしか私の中で、腰を落ち着けて健康を害しない本当においしい米作りに取り組もう、その思いが強くなって行きました。
正直不安もありましたが、家内が背中を押してくれたこともあって、長年勤めたJAを退職し、私たち熟年夫婦は心機一転、米農家への道を歩み出す決意を固めました。
まずは始めた、力を失ってしまった田んぼの有機JAS規定に則った土壌改良。
数年かけた苦労が実り、田んぼに戻って来た生き物たちを見つけた時の感慨はひとしおでした。
その豊かな田んぼで有機(オーガニック)米を栽培していると、子供の頃のような、本来の農業に戻りつつあるような気がして感無量の思いがします。
お客様が毎日口にされる主食であるお米、それが体に害を及ぼしていいはずがありません。
まずは安全であること、そして本当においしいお米であること、私たちはそれを目指して夫婦力を合わせ追求し続けたいと思っています。