昔から梅干しは土用に干すと言い伝えられています。
夏の土用(7月下旬~8月上旬)は日差しも強く、その期間の天日干しにより柔らかくなり風味も増し保存性も増すと言われています。
私たちはその伝統にこだわり、その土用に三日間天日干ししていますが、日を追うごとに梅干しの色合いが変化して行き美しい紅色に仕上がって行く様子を目の当りにすると、何とも言えない喜びを感じます。
土用天日干しの最終日三日目は、亡き義父がやっていたように夜露に逢わせるように翌朝まで外干ししてから漬け壺に戻し、更に三~四ヶ月寝かせて仕上げます。
何度も漬け壺から出し入れする作業は手間も時間もかかり大変ですが、むかしながらの作り方を徹底的に踏襲し、とことん丁寧に美味しく仕込んでいます。
市販されているジャムでは一般的に使用されている添加物、ペクチン。
ペクチンは増粘安定剤(増粘多糖類)として、ジャムのとろみを出すために使用されています。
ペクチンを使用すると短い煮込み時間でとろみが出せ、少量の材料でたくさんのジャムを作ることができますが、添加物であり、また特有の味もするため、私たちは一切使用していません。
天然の増粘安定剤であるレモンを使用し、熱伝導率の高い銅鍋でしっかりとろみが出るまで十分に時間をかけて煮込みます。
長時間煮込むことにより仕上がるジャムの量は半分以下どころか1/3に減ってしまいますが、レモンの酸味が味を締める効果もあり、更に保存効果を高めると言われる砂糖の量も徹底的に減らし、素材自体が持つ甘味や味わいを損なわない本来の美味しさがギュッと詰まったジャムに仕上げています。